「禁じられた遊び」

叩いてもたたいても、いっぱいました
部屋の窓を閉めると、外にでようと必死になって、
窓にアタックしているんです。
僕は、おばあちゃんにお強請りした蝿たたきを握りしめ
パシィ、パシィ、パシィ
軽快なリズムで小さくて黒い山を築いていきます
その山は鈍い青光を時々反射させていました。
それにあきたら何をしたと思います?
羽をむしるんですね、飛べなくなった彼らは、
窓の下を、ずるずると這い回ります、ずっと這い回って........
うん、そう思ってました
動かなくなった彼らのまわりにある羽をあつめ、接着剤でとめました
また黒い山をかきわけ、爪楊枝を使って修復を試みました。
長い時間、庭の池のそば、よいしょよいしょって穴掘って.....。
「禁じられた遊び」ですね。




「蝉時雨 今朝の悲しみ かき消され」

夏の夕方、貝殻虫のいっぱいくっついた庭の木に目をやると
油蝉がとまったいたのです。蝿を比べて、あきらかに大きいそのボディは
所有するという本能をかきたてます
息を殺してでんでん虫よりもスローで彼にちかづきます。
瞬間 むぎゅ! 腹部をつかみ 虫かごへ
宝物 かけがえのないもの そんな感じ
   一夜明けて 動かなかったんです 死んでいました
あああ、死んでしまうってことは悲しいことなんだって
泣いても泣いても おばあちゃんに訴えても、蝉は生き返りません
小学校就学前の子供はこのとき「無常」を知ったのです。



「マル虫パークよ永遠に」

いっぱい集めました。植木鉢をめくって、煉瓦やブロックをひっくり返し、朝から晩まで
手に感じるさわさわ感、空き缶からあふれ出す彼ら、さざさざさざっていう異音、
薄ピンクに黒や白、大きいもの小さいもの、ずっと丸まっているもの
一匹として同じものなはく、右に左に上へ下へと行動し、たちまち地面に広がっていく.....
そうだ!マル虫公園をつくろう!!
集めていた牛乳瓶の蓋やベッタン、それにマッチ棒を組み合わせて、
スベリ台に回転ブランコ、シーソー、川も流れている
たちまちのうちにスケールの大きいものへとなっていく
今風に言うと、夢と冒険のテーマパーク!
さぁ、マル虫くん達、思う存分に遊びたまえ!......
僕は彼らの神になろうとしていたのかもしれません
結局、僕は、そんな大それたものになれるはずもなく、
ただのあかんたれの子供だったんですね
数時間後...夢と冒険のテーマパークに彼らの姿はありませんでした



「君は綺麗になるよ」

とにかく幼虫(毛虫、芋虫、そんなたぐい)がたまらなくすきで、
みつけたらその周りの葉っぱをごっそり採って、幼虫をつれて帰ります。
ある日、すごいのをつかまえました。
角が生えていて、全身にサイケな紋様!しかもでかい!
周りの人たちは、気持ち悪いとかいっていたけれど........
腕に這わせ、足に這わせ、顔に這わせ、胸に這わせ........
思うよりスピードがあり、油断をすると、背中にいってしまう
こうなったら大変、ジャンプしても、からだをゆすっても、けして落ちない
ただ、待つ、それしかない
そんなゆるやかな時間をともにして......
「君は綺麗になるよ」 ふと...そんなこと思ったのかもしれません。
結果は................お察しの通りです




でも、君は綺麗になるよ、きっときっと......